ために収用され,残地として, 同記載1の土地(以下「本件残地1」という。)及び同記載3の土地(以下 「本件残地2」といい,本件残地1と同2を合わせて「本件各残地」とい う。)が生じた。
(甲1,2)
(3) 裁決手続の開始
被告は,平成17年7月1日,法39条1項に基づく裁決の申請を行い, これを受けて,東京都収用委員会は,同年8月25日,裁決手続の開始を決 定し,平成18年4月21日,法45条の3に規定されている裁決手続開始 の登記(以下「本件開始登記」という。)が経由された。
(甲1)
(4) 収用裁決
東京都収用委員会は,被告の申請に基づき,平成19年7月26日,本件 対象地を収用し,権利取得の時期を同年10月23日とする裁決(以下「本 件裁決」という。)を行い,損失補償に関して次のとおり定めた。
(甲1)
ア本件対象地の補償額は,1m2当たり26万2500円が相当であるが, 起業者の見積額である1m2当たり27万0200円の方が高いので,法 48条3項に基づき,1m2当たり27万0200円として補償する。
ただし,上記の価格に基づいて算定された補償額の一部については,法 82条に基づき,区分所有者らの替地による補償の要求を相当と認め,金 銭に代えて次の替地によって補償し,その残額を金銭で補償する。
(ア) 本件残地1の南側に接する別紙物件目録記載4及び5の土地
(イ) 本件残地1の東側に接する別紙物件目録記載6の土地(以下「本件 東側替地」という。)
イ残地補償は,本件残地1について1m2当たり7900円とし,本件残 地2について1m2当たり6万7500円とする。
(5) 原告らについて
ア別紙原告目録記載の原告番号1番ないし94番の原告らは,本件開始登 記がされた平成18年4月21日以前から本件対象地及び本件各残地の所 有権を有し,本件裁決の名宛人とされた者である。
イその余の原告ら(原告番号95番ないし101番)7名(以下「本件原 告ら7名」という。)は,本件開始登記がされた平成18年4月21日の 後に本件対象地及び本件各残地の所有権を承継取得した者であり,本件裁 決の名宛人とされていない者である。
(甲10ないし13)
2 争点
(1) 本案前の争点は,本件開始登記後に権利を承継取得した本件原告ら7名 が原告適格を有するか否かである(争点1)。
(2) 本案の争点は,本件裁決が定めた補償額の適法性であるが,具体的には, 本件対象地に係る補償額の当否(争点2),本件各残地に係る残地補償 の額の当否(争点3)である。
3 争点に関する当事者の主張
(1) 争点1(本件原告ら7名が原告適格を有するか否か)について
(原告らの主張)
ア法45条の3第1項は,「裁決手続開始の登記があった後において」, 当該登記にかかる権利を承継した者は,当該承継を起業者に対抗できない 旨を定めているが,これは,裁決手続開始の登記があった後,同登記が抹 消されるまでの間は起業者に対抗できないという趣旨と解される。
そして, 既に本件開始登記は抹消されているから,本件原告ら7名は,土地所有者 であることを起業者に対抗でき,本件裁決中の損失の補償に関する訴えに ついて原告適格を有する。
イ本件原告ら7名は,本件開始登記後に本件マンションの区分所有権及び 補償金請求権をその前権利者から承継取得した者であり,本件裁決の既判 力が及ぶ承継人(行政事件訴訟法7条,民事訴訟法115条1項3号)に 当たるから,行政事件訴訟法9条1項の法律上の利益を有する者として, 本件裁決のうち損失の補償に関する訴えについて原告適格を有する。
ウ本件原告ら7名は,債務者たる前権利者の補償金請求権につき,債権者 代位権を行使して起業者に対し補償金を請求できるから,法定訴訟担当と して,本件裁決のうち損失の補償に関する訴えの原告適格を有する。
エ本件原告ら7名は,前権利者から本件訴訟追行についての授権を受けて おり,本件原告ら7名が前権利者に代わって訴訟を行っても,弁護士代理 や訴訟信託禁止の原則について脱法のおそれはなく,これを認める合理的 必要もあるから,任意的訴訟担当として,本件裁決のうち損失の補償に関 する訴えの原告適格を有する。
債務者としての雇用契約
(1) 被告は,昭和62年4月18日に設立された有限会社であり,キャプテンフーヅ株式会社(以下「キャプテンフーヅ」という。)の商品の会員宅への配送・集金を主な業務としている。
被告代表者の夫であるaは,キャプテンフーヅの代表取締役兼被告の監査役であり,被告代表者の長男であるbは,被告及びキャプテンフーヅの取締役である(甲1,乙84)。
(2) 原告は平成6年7月, 20日,被告との間で雇用契約(以下「本件雇用契約」という。)を締結し,その後配送員として勤務した(ただし,被告は,本件雇用契約が純然たる雇用というよりも,業務委託契約的な法律関係であると主張とするが,被告代表者の供述中にも,雇用契約であることを認める部分があることからすれば,被告の上記主張は理由がない。)。
(3) 被告は,平成15年12月27日,原告に対して,解雇の意思表示をした(以下「本件解雇」という。)。
(4) 原告は,平成16年1月,全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部(以下「本件組合」という。)に個人で加入した。
(5) 原告は,当庁に対し,被告を債務者として雇用契約上の地位を仮に定めるとともに,平成16年1月分以降の賃金の仮払を求める仮処分を申し立てた。
当庁は保全の必要性を否定して原告の申立てを却下したが(乙123),原告はこれを不服として東京高等裁判所に抗告し,同裁判所は原決定を変更して,被告に対し,平成17年1月から平成18年6月まで,毎月末日限り,1か月金15万円の割合による金員の仮払を命じる決定をした(甲12)。
(被告の主張)
ア法133条3項は,損失の補償に関する訴えの当事者となるべき者とし て「土地所有者」を掲げているところ,法45条の3第1項は,裁決手続 開始の登記があった後において,当該登記にかかる権利を承継した者は, 当該承継を起業者に対抗できない旨を定めているから,法133条3項の 「土地所有者」は,裁決手続開始の登記があった時点の土地所有者に限ら れ,その後に土地所有権や損失補償請求権を譲り受けた者は含まれない。
したがって,本件開始登記の後に土地所有権や損失補償請求権を譲り受け た本件原告ら7名は,損失の補償に関する訴えを提起することができる 「土地所有者」に当たらない。
イ損失の補償に関する訴え(法133条2項,3項)は,行政事件訴訟法 4条が定める当事者訴訟であり,取消訴訟について定める行政事件訴訟法 9条の適用はもとより準用規定も存在しないから,本件原告ら7名が行政 事件訴訟法9条に基づいて原告適格を有するとの主張は失当である。
ウ裁決手続開始の登記後の土地の承継取得者は,起業者が認めない限り, 補償金請求権を承継取得することはないから(法45条の3),本件原告 ら7名が補償金請求権を行使する余地はないし,また,原告らが補償金請 求権を取得したとしても,補償金請求権は起業者に対する権利であって前 権利者に対する権利でないから,そもそも債権者代位の被保全権利とはな り得ないのであって,本件原告ら7名が前権利者の補償金請求権を代位行 使することはあり得ない。
(2) 争点2(本件対象地に係る補償額の当否)について
(原告らの主張)
法71条の「相当な価格」は,収用される土地の近傍類地における代替地 を取得するに充分な金額でなければならない。
そして,隣地購入の場合には 5割増の価格となることが珍しくないところ,本件対象地の近傍類地が1m 2当たり34万1863円で取引された事例があるから,その5割増の1m 2当たり51万2794円が本件対象地の「相当な価格」である。
そして,本件対象地(実測765.61m2)のうち替地補償された合計 440.03m2では足りない325.58m2分について,本件マンショ ンの敷地に隣接した土地を買い増すに充分な補償をすべきであるから,追加 補償すべき額は,以下のとおり8765万5903円になる。
(54万0997円(51万2794円/m2(上記の相当な価格)×1. 055(取得諸費用相当分))−27万0200円/m2(補償額)×1. 0058(法71条の修正率))×325.58m2=8765万5903 円
また,本件東側替地の取得価格は,実際に1m2当たり39万4000円 であり,本件対象地の補償金を1m2当たり27万0200円としたのは, 低きに失したことが明らかであるから,本件東側替地取得のために持ち出し となった(39万4000円/m2−27万0200円/m2×1.005 8(法71条の修正率))×230.73m2(本件東側替地の実測面積) =2820万2820円についても追加補償されるべきである。
(被告の主張)
本件裁決は,不動産鑑定士3名の鑑定が,本件対象地の価格について1m 2当たり27万2000円,25万3000円及び26万2600円であり, いずれも取引事例比較法,収益還元法,開発法によって求めた価格を基に規 準価格との均衡にも配慮して定められたものであって合理的であり,優劣を 付け難かったことから,これらを相加平均した約26万2500円を本件対 象地の価格と認めたものであり,しかも,本件裁決は,法48条3項を適用 し,起業者の見積額である1m2当たり27万0200円を採用した。
よっ て,この単価に基づいて算定された補償額に不足がないことは明らかである。
また,本件東側替地は,旧所有者が,先祖伝来の畑であったことなどの事 情により手放す意思が乏しかったために1m2当たり39万4000円とい う高額になったのであって,客観的かつ正常な市場価格を反映したものでな い。
(3) 争点3(本件各残地に係る残地補償の額の当否)について
(原告らの主張)
ア本件残地1は,本件対象地の収用により三角形の不整形地となるから, 相続税の財産評価基本通達を参考にして,本件対象地の相当な価格(1m 2当たり51万2794円)につき5%の減価をすべきであり,減価分を 残地補償すべきである。
したがって,追加補償の額は,54万0997円 (51万2794円×1.055(諸費用分))×2890.58m2× 0.05(減価率)−2295万7142円(裁決の認定額)=5523 万2613円である。
イ本件残地2は,本件対象地の収用により狭小な土地になるから,相続税 の財産評価基本通達を参考にして,本件対象地の相当な価格(1m2当た り51万2794円)につき30%の減価をすべきであり,その減価分を 残地補償すべきである。
追加補償の額は,54万0997円(51万27 94円×1.055(諸費用分))×93.92m2×0.3(減価率) −633万9600円(裁決の認定額)×1.0058(法71条の修正 率)=886万6762円である。
また,本件対象地及び本件残地2に設置されていた11台分の機械式立 体駐車設備が撤去されることにより,本件残地2には2台しか駐車できな くなるから,残りの9台分の45年分(本件マンションの耐用年数)の駐 車場使用料(1台につき月1万2000円)相当額である9台×1万20 00円×12か月×23.230717(45年のホフマン係数)=30 10万7009円を追加補償すべきである。
(被告の主張)
ア本件裁決は,不動産鑑定士3名の鑑定が本件残地1の減価率について3 %で一致し,不合理でなかったことから減価率を3%と認めたものである。
そこで,本件裁決は,1m2当たり26万2500円(本件対象地の相当 な価格)×3%=1m2当たり7900円に基づいて,本件残地1の残地 補償の額を算定したものであり,その補償額に不足はない。
イ本件裁決は,本件残地2に関する不動産鑑定士3名の鑑定,すなわち, 減価率26%,23%及び28%がいずれも合理的で優劣を付け難かった ことから,これらを相加平均した25.7%を減価率と認めた上で,1m 2当たり26万2500円(本件対象地の相当な価格)×25.7%=1 m2当たり6万7500円に基づいて本件残地2の残地補償の額を算定し たものであり,その補償額に不足はない。
(3) そこで,本件において,F医師が,14年写真及び15年写真の異常陰影 を指摘しなかったことが注意義務に反するかどうかについて検討する。
ア証拠(甲B2,B42,乙B7)によれば,14年写真及び15年写真 の異常陰影について,各専門家が,以下のように指摘していることが認め られる。
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